レンタカーにマイクロバスを超える車両がないのはなぜか?

国土交通省 自動車交通局長 通達

貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて

2.許可に対する条件
許可は、次の例により条件を付すること。

(2)貸渡自動車の増車若しくは代替(配置事務所別車種別の車両数の変更を伴う場合に 限る。以下同じ。)又は事務所の名称若しくは所在地の変更をしようとする者は、あ らかじめ、当該貸渡自動車の車種別の数、配置事務所等又は変更後の事務所の名称若 しくは所在地を当該車両の配置事務所又は当該事務所の所在地を管轄する運輸支局 長に主たる事務所に係る許可証の写し(当該運輸支局長の許可を受けている場合を除 く。)を添えて、届け出なければならない。なお、貸渡自動車の車種は以下の車種区 分によることとする。
@ 自家用乗用車
A 自家用マイクロバス(乗車定員29人以下であり、かつ、車両長が7m以下の車両に限る。)
B 自家用トラック
C 特種用途自動車
D 二輪車
(3)自家用バス(乗車定員30人以上又は車両長が7mを超える車両に限る。)及び霊 柩車の貸渡しを行ってはならない。
(4)自家用マイクロバス(乗車定員が29人以下であり、かつ車両長が7m以下の 車両 に限る。)の貸渡しを行う場合は、4.の要件を満たさなければならない。
4.自家用マイクロバスの貸渡しを行う場合についての特例 自家用マイクロバスに係る貸渡しについては、従来より貸切バス経営類似行為の防止 について指導を行ってきているところであるが、なお、貸渡しに付随して貸渡人が運転 手の労務供給を行う等の貸切バス経営類似行為が跡を絶たないのが現状である。
このため、当分の間、自家用マイクロバスの貸渡しを行う者は、次の要件を満たす者 に限ることとし、自家用マイクロバスの貸渡しを行おうとする者は、その7日前までに、 車両毎に、その旨を当該車両の配置事務所の所在地を管轄する運輸支局長に届け出なけ ればならないこととする。
なお、既に自家用マイクロバスの貸渡しを行っている者が当 該届出を行う際には、原則として、直近2年間の事業における自家用マイクロバスの貸 渡簿の写しを添付又は提示することとする。
@ 現在、自家用マイクロバスの貸渡しを行っていない者にあっては、他車種でのレ ンタカー事業について、2年以上の経営実績を有し、かつ、届出前2年間において- 4 - 車両停止以上の処分を受けていないこと。
A 既に、自家用マイクロバスの貸渡しを行っている者にあっては、届出前2年間に おいて車両停止以上の処分を受けていないこと。

貸切バス経営類似行為(白バス行為)が公然と行われているため、マイクロバス以上のレンタカーについては制限がかけられている。
白バス行為の具体例
事例その@
運転士男性(64歳)は写真愛好家から1人の参加費を合計10万円近く集めていた。 バスのレンタル代や高速料金、燃料費などの実費は5〜6万円であった。 参加費から実費を引いた差額が運転者の利益となっていたため、 これが無許可のバス営業と見なされ、平成25年8月逮捕された。
事例そのA
平成25年2月24日米子市のサッカークラブが練習試合の無料イベントを実施した際、無料と称ながら「募金」名目で往路復路ともに各100円のバス徴収していたため無許可の有償バス運行の疑いがあると見なされた。
白バス行為には幾種かあるが、そのほとんどが有償により送迎をした事によるものである。
ここで、有償の解釈について記述する。

平成18年9月29日 事務連絡 自動車交通局旅客課長

道路運送法における登録又は許可を要しない運送の態様について

@サービスの提供を受けた者からの給付が、「好意に対する任意の謝礼」と認められる場合
※ 会費の全部又は一部によって運送サービスの提供に必要なコストが負担される等、運送サービスの提供 と会費の負担に密接な関係が認められ、運送に対する反対給付の関係が特定される場合は、会費と称して対価の収受が行われているものと考えられるため、 有償とみなされ登録等を要することとなる。
Aサービスの提供を受けた者からの給付が、金銭的な価値の換算が困難な財物や流通性の乏しい財物などによりなされる場合
○ 日頃の移送の御礼として、自宅で取れた野菜を定期的に手渡す場合は有償とはみなさない
ただし、流通性、換金性が高い財産的価値を有する、商品券、図書券、ビール券等の金券、貴金属類、金貨、絵画、希少価値を有する物品等にあっては、これらの収受は有償とみなされ登録等を要することとなる。
B当該運送行為が行われない場合には発生しないことが明らかな費用(同種の運送を行った場合には、運送目的、運送主体を問わず発生する費用に限る。)であって、客観的、一義的に金銭的な水準を特定できるものを負担する場合
客観的、一義的に金銭的な水準を特定できるものであることが必要であり、通常は、ガソリン代、道路通行料及び駐車場料金のみがこれに該当するものと考えられる。人件費、車両償却費、保険料等 は、運送の有無にかかわらず発生し、又は金銭的な価値水準を特定することが困難であるため、これには該当しない。)。
C市町村が公費で負担するなどサービスの提供を受けた者は対価を負担しておらず、反対給付が特定されない場合など
○ 市町村の事業として、市町村の保有する自動車により送迎が実施され、それらの 費用が全額市町村によって賄われ利用者からは一切の負担を求めない場合。
○ デイサービス、授産施設、障害者のための作業所等を経営する者が、自己の施設の利用を目的とする通所、送迎を行う場合であって、送迎に係るコストを利用者 個々から収受しない場合にあっては、当該送迎は自己の生業と密接不可分な輸送と解され、自家輸送として道路運送法の対象とならない。送迎加算を受けて行う場合も同様である。
○ 子供の預かりや家事・身辺援助の提供が中心となるサービスを提供するものであって、運送に対する固有の対価の負担を求めないものである場合は、当該送迎サービスの提供は有償の運送とは解さない。
利用者の所有する自動車を使用して送迎を行う場合は、単に他人の自動車の運転を任されただけであり、運転者に対して対価が支払われたとしても、それらは運転役務の提供に対する報酬であって、運送の対価とはならない。
自動車の提供とともに行われる運送でない場合には、そもそも運送行為が成立しないため、道路運送法の対象とはならない。したがって、運転者に報酬が 支払われたとしても、運送の対価とはみなさない。 ただし、運送の態様又は対象となる旅客の範囲の如何によっては、自動車運転代行業、人材派遣業等とみなされる場合があり、この場合には関係法令が適用されることとなる。