トンネルの照明はなぜオレンジ色?
■ 車種

主に高輝度放電灯( High Intensity Discharge Lamp HIDランプ )の一種で低圧ナトリウムランプを使用しているから。
低圧ナトリウムランプは、ガラス管にナトリウムの蒸気を封入したランプでオレンジ色の光を発する。

長所
・排気ガスや塵・霧の中でも透過性がある。
 目にもっとも感じやすい波長555ミリミクロンの光に近い(夕焼けで太陽のオレンジ〜赤色の光が届くのと同じ)
・暗い中でも物体の輪郭などがはっきりと分かりやすい
・寿命が長い(水銀ランプと比較すると消費電力が1/2〜1/3程度と経済的で、寿命も長い)
・周囲の温度に左右されにくい
・昆虫が寄りつかない。(特に紫外線に感応し黄色の光の波長域には感応しません。)

短所
・演色性(色の見え方)が悪く、照射対象の色は全てオレンジ・イエロー色。
 照射対象の色を表現する事は不可能。演色評価数Raはマイナス
 そのため、トンネル内に設置されている消火栓は蛍光色の赤色で塗装することにより、
 オレンジ色の光の中でも赤色に見えるように工夫されている。
・寿命が9,000時間(水銀灯と比較すると長いが)

一般に道路照明の目的は交通の安全、事故の防止、保安、風紀の維持などですが、高速自動車道の照明
としては、夜の高速走行でも路上の物体がよく見えるように保たれることが必要である事から、
オレンジ色のナトリウム灯はこの目的に合致している。
そこで、低圧ナトリウムランプの欠点を補ったのが高圧ナトリウムランプ

・寿命は約24,000時間
・演色改善型高圧ナトリウムランプ(赤みの強い光色で発光)演色性を高めた。

しかし、自動車技術向上により、排ガスが薄くなってきた事及び換気方式の改善等により
塵や排ガスがこもる事が少なくなってきたため、演色性の悪いナトリウムランプを使う必要性がないという事から
ナトリウムランプより、省エネルギー性(消費電力がナトリウムランプと同等で寿命がナトリウムランプより3割程度長い)と
配光特性を持ち、かつ、発光色が白く、より自然な色の見え方に近くなる高効率の「高周波点灯方式」である「Hf蛍光ランプ」(平成11年〜)が増えつつあった。
しかし、蛍光灯は気温の高低があると明るさが低下してしまう。北海道の旭川では使用されていない。

そこで、「セラミックメタルハライドランプ」(平成21年〜)が登場。
これは、封入されている金属ハロゲン化物との反応が少なく、発光管内の温度維持が良好なため、
蒸発量の確保が容易となり、発光効率の向上や寿命の延長、演色性の向上させたランプ。

また、「LED道路・トンネル照明導入ガイドライン(案)」(国土交通省が平成23年9月に取りまとめた)よると
照明類の設計に対する条件や考え方が記されている。国が管理する国道や高速道路において、
交差点や歩道などの環境、また車線数によって明るさなどが細かく決められている。
トンネルも内部の明るさのバランスや明かりの配置が決まっている。

「LED道路照明器具【高速道路/一般道路】」は多様な車線数に対応できるパターンを持つほか、
配光の制御により道路周辺の建物や農作物への光漏れを抑えている。
そして無駄な明るさを自動的にカットする機能や、時間帯ごとの明るさをあらかじめ設定できる
タイマー機能なども備える。LEDなので寿命が長く、長期間使っても明るさを一定に保てるメリットもある。
以上の事から、LEDランプを使用しているトンネルもある。
2010年10月に阪神高速道路11号池田線で初めて高速道路本線用LED照明が導入。

今後は、上記の事からオレンジ色のナトリウムランプはなくなっていく事になる。