冬季、軽油は凍る!?
冬場の関東で入れた軽油で北海道へスキーに行き、1泊したのちクルマのエンジンをかけてみると、
かからなかったり、始動しても途中で停止したりすることがあります。
これは、軽油が凍るからと言われていますが、
正確に言うと。
水のような凍りかたをするわけではなく、 低温のために軽油の中のパラフィンが析出・ゲル化して
フィルターが目詰まりし、流動性が落ちてパイプラインを塞ぐ事になる。
結果、インジェクターからエンジンへと軽油を噴霧できなくなり、エンジンは始動できなくなってしまう。
ちなみに、寒冷地でもエンジンが動いているときはエンジンなどが暖まっているので、
都市部の2号軽油でも目詰まりすることはなく、注意するのは長時間駐車する時です。
軽油は季節・地域によって異なりJIS規格で定められている。
「特1号」「1号」「2号」「3号」「特3号」の5つの種類があります。
主な違いはその流動性が保たれる最低温度「流動点」にあります。
軽油の中に、ポリアルキルメタクリレート (PMA)等のCFI=Cold flow Improver(添加剤)を
入れて流動点を調整している。
「特1号」は流動点が摂氏5度で、「特3号」は摂氏−30度。
使用のガイドラインによると、温暖な沖縄では年間を通じて「特1号」ですが、
関東では夏(6〜9月)が「特1号」、冬(12〜3月)が「2号」、それ以外の時期が「1号」です。
3号・特3号が寒冷地用の軽油です。
3号は中部の山岳部や東北以北の冬に、特3号は道南を除く北海道の1〜3月にのみ適用。
特3号軽油を暖かい地域で夏場に使用すると、低温流動性には問題ないが、
燃料噴射装置の潤滑性に関係する動粘度が低すぎてトラブルを起こす可能性がある。
JAFでは寒い場所行く場合、「半分くらいは寒冷地用の軽油を入れる」事をお勧めしている。
ちなみに、ガソリンにも夏季・冬季用と2種類あります。
販売時期や販売量は地域によって異なるが夏用ガソリンは(6 月頃〜)に全国で生産・販売。
では、夏季用・冬季用で何が違うのか?
自動車用ガソリンの品質規格(JIS K2202など)で定められている蒸気圧(37.8度C)が違う。
夏季用は72kPa以下で寒冷地用の上限は93kPa(0.95kgf/cm3)
冬季用のガソリンは始動性を良くするため、蒸気圧を高くし、10%点を低くして始動性を良くしている。
夏季用のガソリンでは、始動性を高める必要はなく、
逆に揮発性の高すぎるガソリンは夏期にベーパーロックや
大気中への揮発性ガスの排出増加等の問題が起こる。
したがって、ガソリンの蒸気圧、10%点は季節毎にコントロールされているのです。
※ 10%点=ガソリンを加熱してその10%が蒸発するときの温度