軽自動車の乗車定員はなぜ4人なのか?

道路運送車両法施行規則 別表第一 (第二条関係)
長さ 高さ
軽自動車 二輪自動車(側車付二輪自動車を含む。)以外の自動車及び
被けん引自動車で自動車の大きさが下欄に該当するもののうち
大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの
(内燃機関を原動機とする自動車にあつては、
その総排気量が〇・六六〇リットル以下のものに限る。)
三・四〇
メートル以下
一・四八
メートル以下
二・〇〇
メートル以下
二輪自動車(側車付二輪自動車を含む。)で自動車の大きさが
下欄に該当するもののうち大型特殊自動車及び
小型特殊自動車以外のもの(内燃機関を原動機とする
自動車にあつては、その総排気量が
〇・二五〇リットル以下のものに限る。)
二・五〇
メートル以下
一・三〇
メートル以下
二・〇〇
メートル以下
上記のように、道路運送車両法施行規則により、軽自動車の長さ・幅・高さの制限は明記されている。
ただし、乗車定員については定義されていない。
軽自動車の乗車定員が4名であるという法的根拠は見当たらない。

考えられるのは、国民車構想がある。

通商産業省自動車課は、1955年5月18日に国産自動車技術を前提とする
川原晃技官が作成したといわれる文書「国民車育成要綱案」を発表。
5月18日に日本経済新聞と日本工業新聞がこれをスクープとして
報道したことにより、世に知れ渡ることになった構想である。
国民車の条件は、

● 最高時速100km以上。
● 乗車定員定員4人又は2人と100kg(キログラム)以上の貨物が積めること。
● エンジン排気量350〜500cc。
● 燃費30km/L以上。(平地で時速60km走行時)
● 販売価格25万円以下である。(月産2000台で生産価格は15万円以下)
● 車重400kg

この条件を満たす自動車を募り、
試作車の試験により量産に適した1車種を選定し、財政資金を投入して育成を図るとの構想であった。

この国民車構想に対しては、自動車業界からもさまざまな案や意見が表明されたが、
最終的に1955年9月8日の自動車工業会理事会で、25万円程度の国民車の開発は不可能という結論が出された。

しかし、富士重工業が1958年5月にスバル360を発売
● 後輪駆動方式で大人4人と80lの荷物が入るスペースを確保。
● 356ccの空冷2サイクル2気筒エンジンを積み、385kgという軽い車体。
● 最高時速83kmを実現。
● 42万5000円という販売価格

これは、国民車構想をほぼ実現したものといえる。
これが、大ヒット車両となる。

この国民車構想とスバル360のヒットの名残から軽自動車の乗車定員は4人となっていると考えられる。