リスホメオスタシス理論と交通事故
   ■ リスクホメオスタシス理論
危険を回避する手段・対策をとって安全性を高めても、人は安全になった分だけ利益を期待してより大胆な行動をとるようになるため、 結果として危険が発生する確率は一定の範囲内に保たれるとする理論。カナダの交通心理学者ジェラルド・J・S・ワイルドが提唱。

ホメオスタシスとは日本語で恒常性といい、生物および鉱物において、その内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする傾向のこと。例えば、人間は体温を36℃に保とうしたり血圧を正常値に保とうたする。

   ■ 事例@
1993年6月、ノルウェイの一部地域で、トラックドライバーに凍結路面の運転の教習の受講を義務化された。
当然、事故が減少すると予想されたが事故は増加した。
スキッド訓練を実施する事により、運転能力は向上したが、今まで速度を落とし慎重に運転していた運転士までが雪道走行に対して自信を持つようになり、平然と運転するようになった。 結果として、事故リスクが増加した。

   ■ 理論
環境
運転手
危険度
0
0


上図のように運転環境を改善「ABS装着・ESC装着・中央分離帯設置・アスファルト舗装・スキッド研修実施」等を行っても、
運転手自身が改善された環境に合わせようし結果、事故発生件数は減少しないことになる。
狭い道や信号機がない交差点程、運転手は緊張し気を配るようになる。